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2023 展示圃場観察日記(3)

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 〈8月1日(火)〉  全国的な”酷暑”の中、札幌でも最高気温が30℃を超える日が続いています。  雪印メグミルク㈱「酪農と乳の歴史館」前の展示圃は1番草刈取りから40日が過ぎ、2番草の刈取り時期を迎えました。 刈取り前の様子  開花しており完全に刈遅れですが、その理由は下の1番草刈取りの記事をご覧ください。 1番草刈取りの様子  1番草と同様に倒伏が見られる程に伸びていました。  早速、鎌で刈取り、収量の計測をしていきます。 刈取り後  計測結果は、1,439kg/10aでした。  過去の結果と比較しても非常に良い収量です。  直近3か年の計測結果と、1番草刈取りから2番草刈取りまでの降水量、平均気温を比較してみます。                   表1:過去3か年計測結果と刈取間隔 図1:1番草刈取り日~2番草刈取り前日の降水量推移(札幌) 出典:気象庁 過去の気象データをもとに作図 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php 図2:1番草刈取り日~2番草刈取り前日の平均気温推移(札幌) 出典:気象庁 過去の気象データをもとに作図 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php   感覚的に降水が少ないように思っていましたが、実際は比較的降雨量があり、気温も低くない状態で推移したこと、そしてなにより昨年1番草後にアルファルファ”ケレス”と赤クローバー”アレス”の苗を移植した効果で、今回の良好な収量になったものと思います。 昨年、一昨年の2番草刈取りの記事は下記リンクよりご覧ください。 2022年の刈取りの様子 2021年の刈取りの様子

2023年6月のTHI推移

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  酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。  THIとストレスの関係は、    72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度) という基準で判断している。  昨年10月でモニタリングを中止していたが、府県では先月(5月)より再開し、6月からは北海道のデータを含め、全国の観測地点のTHIデータモニタリングを再開し、今後の暑熱対策の参考として情報提供していく。   さて、2023年6月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。  その前に、全国の気象概況を振り返ることにしよう。  気象庁が公表した2023年6月の天候によると、気温は北・東日本でかなり高く、西日本で高くなった。降水量は東日本日本海側と東日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側と北・西日本太平洋側で多くなった。日照時間は北日本太平洋側で多くなった。北日本では1946 年の統計開始以降、6月として1位の高温となったとのことだ。  さて、THI測定地点での6月のTHI推移は、 宮崎市の6月平均気温は23.5℃(平年差+0.3℃)で平年並、 降水量は 平年比 113% と多かった。下旬後半には最高THIが80以上、平均THIが 73以上を 示すようになり 軽度 ストレスを受けたと考えられる。 5月では まだ月間通して ストレスの ほぼ無い 状態であったと思われたが、 6月に なったら梅雨が始まる までに、すぐにでも暑熱 対策を実施できるよう にしておかなければならない ことが分かる。 秋田市の6月平均気温は21.2℃(平年差+1.6℃)でかなり高く、 降水量 は 平年比93% と平年並。この時期の秋田では最高THIが80以上 の日が 数日あったが、平均THIを見る と月末には75前後となったものの、ひと 月 通して 暑熱ストレスはほとんど無いと 思われる。 しかしながら、7月になると気温が高く梅雨で湿度も上がってくるので暑熱対策の準備 を進めておくことは必要ではないか。 大樹町の隣の広尾町の6月の平均気温は15.8℃(平年差+3.1℃)でかなり高く、降水量 は平年比37%と少なかった。 大樹町では、月末にかけて最高THIが常時70を超えるよ...

2023 展示圃場観察日記(2)

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〈6月21日(水)〉 札幌は夏日予報の天候の中、展示圃は1番草刈取りの時期を迎えました。 “刈取りの時期”と言っても、適期というわけではありません。 展示圃は雪印メグミルク㈱「酪農と乳の歴史館」前にあるため、歴史館をご見学の方々に『アルファルファ“ケレス”』の綺麗な紫の花もご覧頂きたいということで、開花からしばらくしてから収穫しています。 刈取り前の状況 とはいえやや倒伏が見られる程に伸びてしまいました。それでも昨年より6日早い刈取りです。 また、土壌は干ばつ気味で「干ばつになると虫が多い」と言われるそうですが、確かに例年見ないテントウムシの幼虫が何匹か葉に付いていました。 テントウムシの幼虫 早速、鎌で刈取り収量の計測をしていきます。 刈取り後 計測結果は、2,377kg/10aでした。 昨年より6日、一昨年より18日早い刈取りでしたが、それよりも多い収量を記録しました。 昨年1番草後にアルファルファ”ケレス”と赤クローバー”アレス”の苗を移植した効果が出たのだと思います。 昨年、一昨年の1番草刈取りの記事は下記リンクよりご覧ください。 2022年の刈取りの様子 2021年の刈取りの様子

2023年Ⅰ番草収穫始まる

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 2023年6月6日、Ⅰ番草の収穫の立ち会いのため十勝南部・大樹町に行ってきました。 6月6日に北海道農政部が発表したⅠ番草の生育状況(6月1日現在)は、十勝地方は3日早く推移しているとのことでしたが、その発表のとおり現地では例年より早めに収穫作業が開始されました(写真1)。 写真1 我々が立ち会った牧場はコントラクタに収穫作業を依頼しているのですが、圃場の草種の関係から地域で最も早く収穫作業に取り掛かり、スタックサイロにて調製しています。 そのサイレージ調製は乳酸菌とギ酸を添加、丁寧なトラクタによる横踏み、サイロの高さは1m50cm以下を徹底するなど、経営主の意向を汲んだ作業で良質なサイレージが期待されます(写真2)。 写真2

2023年5月のTHI推移

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  酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。  THIとストレスの関係は、    72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度) という基準で判断している。  昨年10月でモニタリングを中止していたが、府県ではそろそろ春が終わり梅雨の時期となっていくことから、モニタリングを再開し今後の暑熱対策の参考として実績を整理し情報提供していく。  さて、2023年5月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。  その前に、全国の気象概況を振り返ることにしよう。  気象庁が公表した2023年5月の天候によると、気温は北日本で高くなり、降水量は北日本太平洋側と沖縄・奄美でかなり少なかった一方、西日本日本海側でかなり多くなった。日照時間は北・東日本日本海側と北・東・西日本太平洋側で多かった。  さて、THI測定地点での5月のTHI推移は、 宮崎市の5月平均気温は20.3℃(平年差+0.0℃)で平年並、 降水量は平年比59%と少なかった。月間通して最高THIが 80を超える ことがほぼ無く、平均THIも月末に2日間だけ75以上となったが、 概ね70未満で推移した。よってこの時期はまだ月間通してストレスの ほぼ無い状態であったと考えられる。6月になると梅雨時期となるので そろそろ暑熱対策の準備を進めておくことが必要ではないかと思う。 秋田市の5月平均気温は15.4℃(平年差+0.2℃)平年並み、 降水量は平年比152%と多かった。この時期の秋田では最高THIが 75以上の日が数日間だけであり、 暑熱ストレスはほぼ無いと思われる。 東北地方の梅雨入りはまだ先になると思われ、暑熱対策準備も もう少し先でも支障がないかと思う。    西日本ではこの時期、暑熱対策の用意を始める必要があるだろう。本格的に気温・湿度が上昇する前に施設の点検や機器が正常に作動するかなどの確認を行っておくことが必要ではないか。  東北での暑熱対策はまだ先のことになるが、6月中には前もって各種点検を行うと良いのではないか。  北海道 の平均気温は秋田市よりも2~5℃程度低く、暑熱対策が必要となる気温・湿度ではないので、モニタリング結果の情報発信は次...

2023年 展示圃場観察日記(1)

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  〈4月24 日(月)〉  札幌市東区苗穂町の雪印メグミルク㈱「酪農と乳の歴史館」前に、雪印種苗㈱が販売する『アルファルファ“ケレス”』の展示圃場があります。  「酪農と乳の歴史館」前のサクラが本格的な開花を迎えた今日、その展示圃場に柵を設置しました。 柵 設置前 柵 設置後  今年は雪解けが早かったこともあり展示圃場のアルファルファ・ケレスは既に 10cm ほどの高さにまでスタンドしています。  アルファルファと混播しているペレニアルライグラスや赤クローバーも順調にスタンドしており、今後の生育が楽しみです。  一方、この展示圃場は経年が進み雑草や裸地が多くなってきたので、この状態を修繕したいと思慮しているところです。  その様子もこのブログでご報告したいと思います。 アルファルファはすでに草丈10cm  さてさて、今年は自給飼料生産にとってどんな年になるのか。  良い年になることを祈るばかりです。

10月のTHI推移

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  酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。  THIとストレスの関係は、    72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度) という基準で判断している。  前月に引き続き、10月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。  なお、北海道は先月の実績確認で終了しており、今月は府県のみの実績確認とする。 その前に、10月の全国概況を振り返ることにしよう。  気象庁が公表した10月の天候によると、気温は東日本で低く、全国的に気温の変動が大きくなった。降水量は東日本・西日本ともに少なかった。日照時間は西日本で多かった。 さて、THI測定地点での10月のTHI推移は、 宮崎市の10月平均気温は20.2℃(平年差+0.2℃)で平年並、 降水量は平年比44%と少なかった。月間通して最高THIでも 80を超えることが無く、平均THIは月始めに73程度を示したものの、 その後は概ね70未満で推移したことから、月間通してストレスの 多くない状態であったと考えられる。 栃木県宇都宮市の10月平均気温は16.0℃(平年差-0.7℃)と 平年より低く、降水量は平年並であった。 10月始めの4日間を除いては、最高THIでも70を超えることが殆ど無く、 ストレス無しの状態で経過したと思われる。 秋田市の10月平均気温は14.2℃(平年差-0.3℃)平年並み、 降水量は平年比103%と多かった。 栃木の例と同様に、月始めだけがやや暑い日があったが、 月を通して最高THIでも70未満であり、暑熱ストレスは無いと思われる。  さて、これらの結果より、栃木・秋田において10月になると、宮崎でも10月後半になると、暑熱ストレスの影響が殆ど無い状態となることがはっきりしたので、今月をもって、今年度のTHI推移実績報告は終了する。 次年度は、気温が上昇する前の4月より、まず府県の実績報告から再開することとしたい。    今年報告した実績結果を、次年度の暑熱対策についての判断材料のひとつとして見ていただければ幸いである。