2023年5月のTHI推移
酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。
THIとストレスの関係は、
72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度)
という基準で判断している。
昨年10月でモニタリングを中止していたが、府県ではそろそろ春が終わり梅雨の時期となっていくことから、モニタリングを再開し今後の暑熱対策の参考として実績を整理し情報提供していく。
さて、2023年5月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。
その前に、全国の気象概況を振り返ることにしよう。
気象庁が公表した2023年5月の天候によると、気温は北日本で高くなり、降水量は北日本太平洋側と沖縄・奄美でかなり少なかった一方、西日本日本海側でかなり多くなった。日照時間は北・東日本日本海側と北・東・西日本太平洋側で多かった。
さて、THI測定地点での5月のTHI推移は、
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宮崎市の5月平均気温は20.3℃(平年差+0.0℃)で平年並、 降水量は平年比59%と少なかった。月間通して最高THIが80を超える ことがほぼ無く、平均THIも月末に2日間だけ75以上となったが、 概ね70未満で推移した。よってこの時期はまだ月間通してストレスの ほぼ無い状態であったと考えられる。6月になると梅雨時期となるので そろそろ暑熱対策の準備を進めておくことが必要ではないかと思う。 |
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秋田市の5月平均気温は15.4℃(平年差+0.2℃)平年並み、 降水量は平年比152%と多かった。この時期の秋田では最高THIが 75以上の日が数日間だけであり、暑熱ストレスはほぼ無いと思われる。 東北地方の梅雨入りはまだ先になると思われ、暑熱対策準備も もう少し先でも支障がないかと思う。 |
西日本ではこの時期、暑熱対策の用意を始める必要があるだろう。本格的に気温・湿度が上昇する前に施設の点検や機器が正常に作動するかなどの確認を行っておくことが必要ではないか。
東北での暑熱対策はまだ先のことになるが、6月中には前もって各種点検を行うと良いのではないか。
北海道の平均気温は秋田市よりも2~5℃程度低く、暑熱対策が必要となる気温・湿度ではないので、モニタリング結果の情報発信は次月以降に行うことにする。
今回報告した結果を、今年度の暑熱対策についての判断材料のひとつとして見ていただければ幸いである。