2023年6月のTHI推移

 酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。

 THIとストレスの関係は、

   72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度)

という基準で判断している。

 昨年10月でモニタリングを中止していたが、府県では先月(5月)より再開し、6月からは北海道のデータを含め、全国の観測地点のTHIデータモニタリングを再開し、今後の暑熱対策の参考として情報提供していく。 

 さて、2023年6月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。


 その前に、全国の気象概況を振り返ることにしよう。

 気象庁が公表した2023年6月の天候によると、気温は北・東日本でかなり高く、西日本で高くなった。降水量は東日本日本海側と東日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側と北・西日本太平洋側で多くなった。日照時間は北日本太平洋側で多くなった。北日本では1946 年の統計開始以降、6月として1位の高温となったとのことだ。


 さて、THI測定地点での6月のTHI推移は、

宮崎市の6月平均気温は23.5℃(平年差+0.3℃)で平年並、降水量は平年比113%
と多かった。下旬後半には最高THIが80以上、平均THIが73以上を示すようになり
軽度ストレスを受けたと考えられる。5月ではまだ月間通してストレスのほぼ無い
状態であったと思われたが、6月になったら梅雨が始まるまでに、すぐにでも暑熱
対策を実施できるようにしておかなければならないことが分かる。


秋田市の6月平均気温は21.2℃(平年差+1.6℃)でかなり高く、降水量平年比93%
と平年並。この時期の秋田では最高THIが80以上の日が数日あったが、平均THIを見る
と月末には75前後となったものの、ひと通して暑熱ストレスはほとんど無いと
思われる。
しかしながら、7月になると気温が高く梅雨で湿度も上がってくるので暑熱対策の準備
を進めておくことは必要ではないか。


大樹町の隣の広尾町の6月の平均気温は15.8℃(平年差+3.1℃)でかなり高く、降水量
は平年比37%と少なかった。
大樹町では、月末にかけて最高THIが常時70を超えるようになったが、ひと月を通して
暑熱ストレスがあったようには見えない。
本格的な暑さが来る迄、まだ少し時間の余裕があるが、暑くなったらすぐに実施できる
よう準備を進めておきべきと考える。


標茶町の隣の釧路市の6月の平均気温は15.5℃(平年差+3.3℃)でかなり高く、降水量
平年比62%と少なかった。
大樹町同様に標茶町でも、月末に最高THIが常時70を超えるようになるが、ひと月を通し
て暑熱ストレスがあったようには見えない。
本格的な暑さが来る迄、まだ少し時間の余裕があるが、暑くなったらすぐに実施できる
よう準備を進めておきべきと考える。

興部町の隣の雄武町の6月の平均気温は15.0℃(平年差+2.7℃)でかなり高く、降水量
平年比80%と平年並。
この地域では道内他地区と比べて平均THIが低く推移し、ひと月を通して暑熱ストレスを
感じることはなかっただろう。
本格的な暑さが来る迄、まだ少し時間の余裕があるが、暑くなったらすぐに実施できる
よう準備を進めておきべきと考える。



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