2023年9月のTHI推移(北海道)

 酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。

 THIとストレスの関係は、

   72以下(ストレス無し)、73-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度)

という基準で判断している。

全国の観測地点のTHIデータモニタリング結果を、今後の暑熱対策の参考として情報提供していく。 

 今月も宮崎・秋田編と北海道編とに分割してお伝えしているが、これからは北海道編である。

 全国の気象概況は、宮崎・秋田編に記載しているので参照してもらいたい。 さて、2023年9月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。


大樹町の9月の平均気温は19.1℃(平年差+3.4℃)でかなり高く、降水量は
平年比84%と少なかった。
大樹町の平均THIを見ると今月はほぼ暑熱ストレスの無い状態であり、最高THIを
示す日中を除くと、概ね暑熱ストレスの無い状態であった。

昨年との比較では、上・中旬で平均THIがかなり上昇している。今年は9月中旬まで
昨年よりも猛暑であったことが分かる。

標茶町の9月の平均気温は18.9℃(平年差+3.6℃)でかなり高く、降水量平年比
168%と多かった。
平均THIを見ると、月を通してほぼ暑熱ストレスの無い日が続いていたが、下旬には
最高THIでもほぼ70以下を示し、日中でも暑熱ストレスが無い。

昨年との比較では、月を通して平均THIがかなり上昇している。今年は昨年よりも
はるかに猛暑であったことが分かる。下旬も差が大きいものの、暑熱ストレスは
ほぼ無い状態である。

興部町の9月の平均気温は18.3℃(平年差+2.7℃)でかなり高く、降水量
平年比78%と少なかった。
興部町では、上・中旬にときどきTHIが軽度ストレスを示すことがあったものの、
ひと月を通して暑熱ストレスの無い日が続いたものと思われる。

昨年との比較では、上・中旬で平均THIが上昇しているのが分かる。道内他地域
と同様に、下旬には昨年との差が少なくなり暑熱ストレスの無い季節となった。


 以上のように、今年は統計開始以来の記録的な高温であったが、9月下旬ともなると昨年より気温が高いとはいえ、北海道では暑熱ストレスについてはほぼ無縁な季節を迎えた。今年の夏は牛にはこたえる暑さが続いたので、本格的な体調回復までは少し時間が必要になるだろう。
 最後になるが、今年の記録的な暑さを踏まえ、来年に向けてさらに本格的な暑熱対策を検討する必要があると考えられる。

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