9月のTHI推移

  酪農総合研究所では北里大学との共同プロジェクトを実施しており、全国の酪農家にご協力いただき、牛舎に通信型の温湿度センサー端末を設置して、THIをモニターしている。

 THIとストレスの関係は、

   72以下(ストレス無し)、72-78(軽度)、79-88(強度)、89以上(超強度)

という基準で判断している。

 前月に引き続き、9月のTHIがどんな推移を示したのか、まとめたので紹介する。

 

 その前に、9月の全国概況を振り返ることにしよう。

 気象庁が公表した9月の天候によると、全国的に平均気温が高く推移した。また、降水量は西日本日本海側と東・西日本太平洋側で多く、北日本日本海側と太平洋側では少なかった。東日本日本海側は、平年並みだった。

 北日本では、高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、北日本日本海側の月間日照時間はかなり多かった。

 東・西日本では、上旬は前線や湿った空気、台風第 11 号の影響を受けやすく曇りや雨の日が多かった。中旬の終わりは台風第 14 号の影響で大雨や大荒れとなった所があり、下旬 の前半は台風第 15 号の影響で東日本太平洋側を中心に記録的な大雨となった所があった。

さて、THI測定地点での9月のTHI推移は、

宮崎市の9月平均気温は26.0℃(平年差+1.3℃)で平年より高く、
降水量は平年比164%と多かった。平均THIが月間通して
70~80を推移していたが、前半はやや強度、後半は軽度の
ストレスがあったと考えられる。

栃木県宇都宮市の9月平均気温は23.6℃(平年差+1.2℃)と平年より高く、
降水量は平年比135%と多かった。この1か月間の平均THIは
前月同様70~80の間にあり、時々、最高THIが80を超え、
強度ストレスがあったものの、月の終わり頃になると、
ほぼストレスを感じることが無い状態であったと思われる。

秋田市の9月平均気温は22.3℃と平年より高く、降水量は平年比81%と
平年並み、日照時間は平年比123%と平年より多かった。
月の始めには最高THIが80を超え、強度ストレスの日があったが、
概ね軽度ストレスの日が続いた。月の後半には最低THIが70を下回っていて
夜間のストレスはほぼ無かっただろうと推測される。

大樹町の隣の広尾町の9月平均気温は17.8℃(平年差+1.2℃)
であり平年より高かった。また、降水量は平年比44%と非常に
少なかった。最高THIが時々80を超える日もあったが、平均THIは
70以下の日が多く、最低THIは70以下で推移したところから、
暑熱ストレスを感じることの無い気候となった。

標茶町の隣の釧路市では9月の平均気温が17.5℃(平年差+1.0℃)
と平年より高く、降水量は平年比59%と平年より少ない月であった。
最高THIで見ると軽度ストレスの日が多いが、平均・最低THIで見ると
9月を通して、暑熱ストレスの無い月であった。


興部町の隣の紋別市では9月の平均気温が17.9℃(平年差+1.3℃)
であり平年より高く、降水量は平年比68%と平年並だった。
最高THIで見ると軽度ストレスの日が多いが、平均・最低THIで見ると
標茶町同様に、9月を通して暑熱ストレスの無い月であった。


 10月に入り北海道では、涼しいのを通り越し、いきなり寒波がやってきた。あちこちから初霜、初氷の便りが聞こえてくるようになり(札幌、帯広では 10/7初霜、初氷を観測した)、峠ではすでに初雪が降った。
 
 そこで、今年の北海道内のTHIモニターの確認・まとめ作業は、これで終了することにする。来春、あたたかくなってきた頃に再開することにしたい。
 宮崎、栃木、秋田については、来月からも確認を続けていきます。

このブログの人気の投稿

2023年8月のTHI推移(北海道)

2023年10月のTHI推移

2023年Ⅰ番草収穫始まる